ゴールデンウイークに観る映画におすすめ!海外の名作ドキュメンタリー映画8選

もうすぐゴールデンウイークですね。ゴールデンウイークに映画を観たいと思っているあなたにおすすめの映画をご紹介します。海外の名作ドキュメンタリー映画8選です。アカデミー賞を受賞した「ボウリング・フォー・コロンバイン」「皇帝ペンギン」など歴史に残る定番から、2022年に公開され、称賛を集めている新作「LOVE HEALS」まで。超おすすめの傑作・秀作を厳選しました。

「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年、アメリカ)

「銃社会アメリカ」の暗部に切り込む一作。「華氏911」などの大ヒットを連発したマイケル・ムーア監督の名を、世界に知らしめた傑作です。

1999年に米国のコロラド州コロンバイン高校で、生徒2人が起こした銃乱射事件。事件に衝撃を受けたマイケル・ムーア監督が「なぜアメリカでは銃犯罪が多いのか」の答えを求めて、アポなし取材を敢行。真実に迫ります。銃を擁護する全米ライフル協会会長で俳優のチャールトン・ヘストンへの突撃取材も見ものです。

映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」を観る

「皇帝ペンギン」(2005年、フランス)

動物ドキュメンタリー映画。南極で生きるコウテイペンギンのカップルの出会いから産卵、子育てを克明に追います。製作国フランスはもとより、米国や日本でも大ヒットしました。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞。

リュック・ジャケ監督が準備に4年、撮影に8800時間をかけた超力作。絶食120日に及ぶ壮絶な子育てを記録する一方、氷点下40度、時速250キロのブリザードが吹きすさぶ自然の厳しさ、美しさも描きます。

映画「皇帝ペンギン」を観る

「シュガーマン奇跡に愛された男」(2012年、スウェーデンとイギリス)

メキシコ系アメリカ人歌手ロドリゲスの「幻」を追った一本。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞しました。

ロドリゲスは1960年代後半から米デトロイトで活躍。労働者の悲哀を歌いました。1970~71年に2枚のアルバムを発表したものの、米国では売れずに終わりました。

ところが、アパルトヘイトへの抵抗運動が起こりつつあった1970年代の南アフリカで50万枚のアルバムセールスを記録。しかし、1990年になっても依然、その素顔は知られないまま。ステージ上で拳銃自殺したという話も流布していました。そんな中、南アの熱狂的なファンがロドリゲス探しに奔走し、意外な消息が明らかになります。映画の題名の「シュガーマン」とは麻薬売人を歌った彼の代表曲です。

マリク・ベンジェルール監督はスウェーデン出身。5年間、テレビドキュメンタリーを経験し、2006年から半年間、アフリカ、南米を旅した時に、この話を知ったそうです。

当初、30分の番組を想定したものの、構想が膨らみ、製作は3年がかったといいます。1970年代の雰囲気を出すために一部を8ミリカメラで撮影していましたが、資金が底をついたため、後半は8ミリと同様の効果を出せるiPhoneアプリを使ったというエピソードが残っています。

映画「シュガーマン奇跡に愛された男」を観る

「スーパーサイズ・ミー」(2004年、アメリカ)

監督が自らマクドナルドの商品を1日3食、1か月間食べ続けるという実験映画です。現代の食文化に警鐘を鳴らしています。

モーガン・スパーロック監督は、アメリカでインターネット用の番組制作を手がけていました。「肥満になったのはマクドナルドのせい」と、女性2人が訴訟を起こしたことを知り、「私が証明してみよう」と思い立ちました。

自身に課したルールは、▽注文時に店員からスーパーサイズ(Lより上の特大サイズ)を勧められたら断らない▽すべての商品を1度は食べる――など。

撮影前、「健康そのもの」と診断されていたましが、早くも3日目から体調の異変に気付きます。ただ食べ続けるだけでなく、食品会社のスポークスマンや調理師、弁護士などのインタビューも加え、「肥満大国」の実態を浮き彫りにしました。

米サンダンス映画祭で上映されて反響を呼びました。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされました。

この映画が公開された後、マクドナルド社は全米でスーパーサイズの販売を廃止しましたが、「映画とは関係ない」というコメントを出しました。

映画「スーパーサイズ・ミー」を観る

「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」(2003年、アメリカ)

ベトナム戦争当時の米国防長官だったロバート・マクナマラが、戦争指導の誤りを含めて、自分が深くかかわった戦争について反省を率直に語るインタビュー映画。

マクナマラは、ケネディ大統領の懇請を受け、フォード自動車の社長から44歳で史上最年少の国防長官に就任しました。ケネディ暗殺後も含め6年11カ月務めました。

撮影当時87歳くらいだったマクナマラは、キューバ・ミサイル危機、ベトナム戦争などを振り返り、ベトナム戦争の誤りを認めて「11の教訓」として総括します。教訓は「敵の身になって考えよ」「理性は助けにならない」「目に見えた事実が正しいとは限らない」など。

監督のエロール・モリスは、1948年米国ニューヨーク州生まれ。ウィスコンシン大学卒、1978年以降、長編ドキュメンタリー映画で活躍。1992年のホーキング博士へのインタビュー映画は、書籍「ホーキング、宇宙を語る」の基となるなど、現代アメリカを代表するドキュメンタリー監督として知られています。

映画「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」を観る

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(1999年、独・米・仏・キューバ合作)

キューバの高齢ミュージシャンたちの人生を描く音楽ドキュメンタリー。主役級で登場するミュージシャンは、92歳でギターなどの演奏家にして歌手のコンパイ・セグンド、80歳のピアニストのルベン・ゴンサレス、72歳の歌手イブラヒム・フェレール、63歳の女性歌手オマーラ・ポルトゥオンドら十数人のキューバ人と、米国人ギタリスト、ライ・クーダーら。

映画は、人間味あふれるこのベテラン歌手たちのグループが1998年、アムステルダムとニューヨーク(カーネギーホール)で催したコンサートを軸に、ミュージシャンたちが生い立ち、音楽観、人生観などを語ります。

ヴィム・ヴェンダース監督。この監督の過去作「エンド・オブ・バイオレンス」で音楽を担当したライ・クーダーが、キューバ音楽界の老音楽家たちとアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を製作。その音楽の素晴らしさを監督に語ったのが、映画化のきっかけといいます。

音楽家たちのドラマチックな人生と、情熱あふれる演奏に感動させられる作品です。

映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を観る

「不都合な真実」(2006年、アメリカ)

米国クリントン政権の副大統領だったアル・ゴア氏が地球温暖化の危機を訴えて講演する姿に肉薄したドキュメンタリー映画です。デイビス・グッゲンハイム監督。

ゴア氏の講演は世界千カ所以上に及びます。氷が解けておぼれ死ぬ北極グマ、猛威をふるうハリケーン、干上がった湖…。温暖化の影響という人類にとって知りたくない「不都合な真実」を照射するゴア氏の講演に、彼の半生が重なる立体的な構成になっています。

膨大なデータを基に人間「アル・ゴア」の使命感と臨場感あふれる講演は、環境問題を学ぶ最適の入門編にもなっています。「世界の問題はテロだけではない」と訴え、多くの為政者が“不都合な真実”から目をそらす実態を浮き彫りにします。