薬膳の基礎知識1
皆さんは、「薬膳」という言葉を聞いた時に、どんなイメージを持つでしょうか?
-薬臭い
-辛い
-不思議な素材が入っている
-生姜、にんにくを使っている
-食べたらぽかぽかする
こんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
確かに、街に出回る「薬膳」と称されたものには、「薬膳に使われる素材」をごった煮にしたようなものもあり、薬のような香りを全面に押し出しているものもあります。
しかしながら、「薬膳」は本来、オーダーメイドの食事。なにもかも、薬膳で使われる素材を入れれば栄養満点!健康になれるというわけではありません。
◆そもそも薬膳って?
薬膳は、本来、召し上がる人のために作られたオーダーメイドの特別食でした。
先人の知恵は素晴らしい物で、現代よりも食べることと薬が密接、または同等に捉えられており、身体の不調を考えるとき、まず食生活を見直し(今で言う食事療法でしょうか)、先に進んでいくという考えをしていたそうです。
薬膳の根本にある養生の教えには、3つの原則があります。1つ目は、自然に従うこと、2つ目は、陰陽の調和をはかること、3つ目は心身の調和をはかること、です。
養生とは、「生を養うこと」つまり、健康で長く生を受けていられることを指します。
この3つを実践することで、養生という生活習慣にたどり着くというわけですが、その一部として、食生活の考え方が非常に重要になってきます。
なぜなら、私たちの生活で、「食べる」ということは、生命を維持し、生きる活力をもたらしてくれるものだからです。漢方でいう「食べる」ということは、口から新鮮な空気と一緒に入り、咀嚼し、体の水分と交わり、精査され、必要な分は精力(エネルギー、活力)として配分され、不要な分は排泄物として排出されていくサイクルの始まりですので、ここを疎かにすると、文字通り生きる糧を失ってしまう…と言っても過言ではないかと思います。
こんな風に、食と健康が切っても切れない仲という考えですので、先人たちは、試行錯誤を繰り返しながら、何が身体に良いのか悪いのかを確かめてきました。