健康寿命をのばし、メンタル幸福度を高めてくれる腸の秘密

長寿地域の高齢者の腸内はビフィズス菌が多い

同じ長寿地域といわれる中央ヨーロッパのコーカサス地方。ここの人たちの食生活は、主食はライ麦の黒パンか、ソバの粒のままのおかゆ、皮つきのジャガイモ、粗挽きしたトウモロコシのおかゆ。野菜、果物も十分にとって、ヒマワリの実をお菓子代わりに食べてきたといいます。

また、コーカサス地域の特徴としてヨーグルトの摂取が多いことが挙げられます。ある調査では、コーカサスの高齢者の腸の中はビフィズス菌や乳酸菌が多く、若者と変わらないことが分かりました。

ビフィズス菌は年齢とともに減る

ビフィズス菌は高齢になると減ります。老化ともにビフィズス菌が減り、悪玉菌が増えていくのです。

ビフィズス菌が多いか少ないかは、オナラや便の臭いでもわかるそうです。腸内が老化すると、悪玉菌が増えて、オナラが臭くなります。一方、母乳で育った赤ちゃんの腸にはビフィズス菌が多く、便は嫌な臭いがしないといいます。

お年寄りが使ったあとのトイレは臭いと言われます。その理由は、お年寄りの便やオナラには、悪臭を発する物質が非常に多く含まれているからです。具体的には、硫化水素、インドール、スカトールなどが、悪臭のもとだそうです。これらを作り出すのは、腸内の悪玉菌です。つまり、お年寄りの腸内環境は、悪玉菌優位に傾いているということです。腸内環境の悪化が、徐々に老化を進行させるとも考えられます。

生まれたばかりの赤ちゃんの腸内

そもそも生まれたばかりの赤ん坊の腸内には、細菌はいないそうです。胎児が健康に育つよう、母親の子宮の中は無菌状態だから、なのだとか。胎児の胎便の中にも、細菌が発見されないことが、それを示しています。

ところが、出生してから翌日になると、もう便中から細菌が発見されるようになります。とても不思議ですね。どこから、そんな細菌が体内に入り込んでくるのでしょうか。

それは、お母さんや看護師さんの手指などからだといいます。大気中や産室のいたるところにも細菌は存在します。ミルクといっしょに摂取される細菌もあるでしょう。とにかく、わずか1日でも、驚くほどの数の細菌が、腸内に見られるようになるそうです。

ただし、この時点ではまだ菌の種類は多くないといいます。最初は乳酸菌のような善玉が見受けられ、そのあとは、大腸菌や腸球菌といった、大気中などにもっともポピュラーに存在している悪玉菌も増えていくといいます。生後1週間にもなると、大人の腸内にある細菌の種類がほとんど出そろうそうです。

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